マンションでよくある鳥害と対策方法! 注意しておきたい法律も解説
マンション暮らしのトラブルでは、住民同士のいざこざなど、他人との関わり方が問題に発展するパターンが多くありますが、時には人間以外の生き物がトラブルを巻き起こす場合もあります。
よく問題になりがちなのが、鳥による「鳥害」です。
この記事では、鳥がどのような被害をマンションに与えるのか、対策方法も含めて解説します。
マンションでよくある鳥害
鳥のフン
鳥害で最も大きな問題は鳥のフンです。マンションに鳥が住み着いてしまうと、窓やベランダ、ベランダに干している洗濯物が鳥のフンで汚されてしまう場合があります。
汚れだけでも十分厄介ですが、フンによって健康被害が引き起こされるリスクにも注意が必要です。鳥のフンに含まれる菌やウイルスなどの病原体に触れたり、乾燥して空気中に広まった粒子を吸い込んでしまったりすると、感染症にかかってしまう場合があります。
また、コンクリートや鉄部にフンが付着すると、フンに含まれる酸性物質によって素材の劣化や腐食の原因となるので注意しましょう。
鳴き声による騒音
鳴き声がうるさい種類の鳥もいるため、そのような鳥に住み着かれるとマンション住民のストレスになりかねません。
鳥は日の出よりも早い時間帯から鳴き始めるため、鳥の鳴き声で睡眠を妨げられてしまう場合もあるでしょう。
また、雛鳥は頻繁に鳴き声を発するので、マンションに作られた鳥の巣に雛が生まれると、しばらくの間は騒音問題に悩まされる可能性があります。
マンションの鳥害が発生しやすい環境
鳥は行動範囲が広いため、どんな場所でも鳥害に遭う可能性はあります。しかし、特に被害が発生しやすい環境も存在するので、どのような条件が該当するかみていきましょう。
まず立地の面では、都市部は地方と比較して鳥が好む自然が少ない傾向ですが、その分、緑が多い公園には鳥が集中しやすくなります。そのため、近くに緑が多い公園があるマンションは鳥害のリスクが高いでしょう。
また、郊外であっても、田畑のそばに建つマンションは、鳥が住みつきやすい傾向です。
マンションの設備ごとにみると、ベランダや太陽光パネルの下などは雨を避けられるので、鳥が住みつきやすい場所といえます。エアコンの室外機の付近も外的から身を隠しやすく、水も得られるため、鳥に好まれる場所です。
また、屋上に高架水槽があるマンションでは、その下に鳥が住み着く場合もあるでしょう。
マンション鳥害の対策方法
鳥からしてみれば生きるための自然な行動ですが、マンションの居住者にはやはり迷惑なので、なんとかして鳥害は避けたいところです。
ここからは、お住まいのマンションが鳥害に遭わないための対策方法を紹介していきます。
フンの掃除をする
外部との仕切りがないベランダは、特にフンの被害を受けやすい場所となっています。
中には、触れるのが嫌で、フンをされてもそのままにしてしまう人もいるかもしれません。しかし、フンがある場所は鳥たちにとって「自分達がいられる安全な場所」の目印となるので、再び鳥が戻ってきたり、他の鳥を呼び寄せてしまったりする要因になります。そのため、フンを見つけたら放置は厳禁です。
掃除をする際は、マスクとビニールやゴム製の手袋を着用した上で、ペーパータオルや雑巾などで拭き取りましょう。
フンに含まれる病原体への対策として、使用した道具はすぐに洗うか、あるいは処分をするべきです。そのため、掃除道具は捨てても問題ないものを選んだ方が無難です。
拭き取った後も、病原体を残さないために、フンがあった場所をエタノールなどで消毒をしましょう。
前述の通り、乾燥したフンから病原体が空気中に拡散する可能性もあるので、時間が経過して乾燥したフンには、水をかけてから作業しましょう。
バードネットの設置
ベランダでは鳥が来れないようにすれば、フン問題は根本的に解決できます。
そこで有効なのが「バードネット(防鳥ネット)」です。バードネットはプラスチックなどの素材で作られた網で、ベランダと外部との境目に設置すれば鳥の侵入を防げます。
固定具をつけるために設置場所に穴を開けなければならない場合もありますが、接着剤を貼り付けるだけで設置可能なタイプもあります。接着剤タイプを選べば、設置の手間も少なくて済むでしょう。
人によって、外部から見た時にネットの存在が気になってしまう点は難点です。鳥害の被害と外観を天秤にかけて、設置を検討してください。
防鳥用のスパイクを設置する
鳥がベランダの手すりやエアコンの室外機などの上に止まるのも、よく見られる光景です。そういった鳥が止まりそうな場所に、「防鳥用スパイク」を設置するのも、鳥の侵入防止に効果を発揮します。
防鳥用スパイクとは、建物の塀の上などに設置されるトゲ状のアイテムです。スパイクが設置されている場所には、鳥が止まれなくなるため、鳥が寄りつかなくなる効果が期待できます。
防鳥ワイヤーを設置する
「防鳥ワイヤー」の設置も効果的な対策となります。防鳥ワイヤーは、ステンレスなどの素材のワイヤーロープを鳥が止まりそうな場所の上に張り、鳥がその場所に止まったり通過するのを避ける道具です。
価格は高額になりますが、ワイヤーに電流を流して鳥に電気ショックを与える商品もあります。電気ショックによって、鳥が危険を覚えるため、設置場所に近づかなくなる効果も期待できます。
忌避剤を使用する
比較的に手軽に実施できる対策に、「忌避剤」の使用があります。忌避剤とは、害虫や特定の生き物が嫌がる匂いや成分を含んだ薬剤です。
忌避剤にはスプレータイプ、固形タイプ、ジェルタイプの3種類があり、それぞれ使用方法や効果が持続する時間に違いがあります。
最も手軽なスプレータイプは、鳥が止まりそうな場所に向けてスプレーを吹きかけて使用します。手間が少ない反面、3〜4時間しか効き目が持続しない点が難点です。
固形タイプは、固形の薬剤を対象の場所に置いたりテープで貼り付けたりして使用し、効果は約1カ月が目安となります。中には、水に濡れると溶けてしまう製品もあるので、その場合は雨に濡れない場所に設置しましょう。
ジェルタイプは効果が1年以上続く製品もあり、持続期間の長さが大きなメリットです。対象となる位置に直接ジェル状の薬剤を塗り込んで使用します。薬剤を塗り込んだ場所に鳥がとまると、ベタつくジェルが体につくので、鳥に嫌な体験の記憶をうえつけ再来を防止します。
マンションの鳥害対策を行う前に知っておきたい法律
ここまで鳥害を防ぐ方法を紹介しましたが、対策方法によっては、法律に抵触する場合があるので注意が必要です。
どのような法律が該当するかを紹介していきます。
鳥獣保護法
鳥獣保護法は生物の多様性の維持や生活環境の保全、農林水産業の発展を目的とする法律です。目的達成のために、野生の生き物と人間の関わり方についての規制を定めています。
この法律により、野生動物を傷つけたり、駆除したりする行為が禁じられているため、鳥害への対策であっても過剰な方法で行えば法律違反です。
また、区や市町村の許可を得ずに、野鳥の巣を移動させる行為も制限されており、1年以下の懲役または100万円以下の罰金課せられる可能性があります。そのため、マンションに巣作りをさせないための事前対策が重要です。
消防法
消防法は、火災の予防や発生した火災の被害を最小限に抑えるための対応方法を規定する法律です。
この法律では、火災が起きた時の避難経路を確保するために、マンションの共用部分であるベランダに避難の妨げになる物を置く行為を禁じています。鳥害対策グッズも、条件次第で消防法の規定違反とみなされる可能性があるでしょう。
例えば、マンションにバードネットを設置する場合は、所管の消防署に許可を得なければなりませんが、製品や設置方法、設置場所によっては許可されない場合もあります。
鳥害はどの地域でも起こり得る
鳥は日本の各地に生息する生き物なので、鳥害はどのマンションでも起こり得る問題です。
しかし、鳥を過剰に傷つけるような過剰な対処方法は、法令遵守とモラルの両方の観点から避けなければなりません。
鳥害に困っているのであれば、この記事で紹介した対策を検討し、できる限り鳥に優しく、住まいも快適になる方法を選択しましょう。