そもそもマンションのエントランスの役割とは? 人気設備も紹介!
普段何気なく利用しているマンションのエントランスですが、実は設計において住民が快適な暮らしを送るための工夫がたくさん凝縮されているのをご存じでしょうか。
この記事ではエントランスの持つ役割を整理しつつ、利便性や安全性をサポートするおすすめの設備も紹介。エントランスの改修を考えている管理組合の方は、ぜひ参考にしてみてください。
エントランスでマンションの印象が決まる
正面玄関にあるエントランスは単なる出入口としての役割だけでなく、訪れる人たちにマンション全体のイメージを印象づけるスペースでもあります。
例えば、背が高くて重厚なデザインの扉が設置されていたり、床に高級感を感じさせる敷石が施工されたりしていると、マンション全体のイメージも豪華に感じるのではないでしょうか。立地や外観などとともに、エントランスのデザインも気になるポイントの1つといえます。
安全な住環境を提供する防犯の役割も担う
オートロックや防犯カメラ、さらに警備員の配置や管理員室などを設けることで不審者の侵入を防いでいるエントランスは、安全な住環境を提供する防犯の役割も担っています。
ここで新築の分譲マンションでは、自動ドアや手動式の扉の先にオートロックの扉が控えているなど、扉が2重になっていることも多いのではないでしょうか。この2重扉で囲まれた空間のことを風除室(ふうじょしつ)と呼びます。
エントランスの一部である風除室には入居者以外も入れるマンションが多いものの、なかには風除室さえ入居者か管理員の許可がなければ入れないところも。さらに、最近では風除室に防犯カメラを設置するなど、防犯性をより強固にしているマンションも多くあります。
この風除室は防犯機能以外に、本来は外気の流入を緩和することで屋外との気温差を調節したり、細かいゴミの侵入を防いだりといった、エントランス内を快適に保つ役割があります。
エントランスを快適に使ってもらう方法は?
エントランスはマンションの共用部分にあたり、個人で所有している専有部分とは異なります。住民全員、ときには外部の人も利用するため、私物を置いたり長時間占領したりすることは控えてもらう必要があります。
なかには、大量の荷物を運ぶためにエントランスに一時的に荷物を置く人、またエントランスの前に車を止めておく人もいるかもしれません。ただ、通行の妨げになるなど、ほかの住民に迷惑がかかる可能性があります。
そのため、共用部を一時的にでも占拠する場合、あらかじめ管理員さんにその旨を伝え、管理員からほかの住民にも伝えてもらうように徹底しておきたいところ。掲示板などで、定期的に利用マナーを呼びかけるような工夫も必要かもしれません。
エントランスの良し悪しをチェックするときのポイント
では、優れたエントランスかどうか判断するために、何を確認すれば良いのでしょうか。ここでは、チェックするときのポイントを3つにまとめてみました。
【ポイント1】防犯対策は万全か
セキュリティを重視するなら、不審者だけでなくセールスマンや勧誘者など、外部の人間を遮断することができるオートロック機能は欠かせません。最新のマンションでは、来訪者の顔認証を行うなど、高いセキュリティ技術が導入されているケースもあります。防犯対策の第1段階として、まずはオートロックの設置を検討しましょう。
またセキュリティの高いオートロックですが、宅配業者を装って開錠してもらうなど、抜け道がないわけではありません。万が一のときの犯人特定などに備えて、監視カメラの設置も考えておきましょう。
【ポイント2】管理が行き届いているか
エントランスの管理状態をチェックするときのポイントとしては、以下の項目があります。
・清掃はできているか、壁や床が破損したままになっていないか
・灯りが点いていない照明はないか
・エントランス付近の駐輪禁止区域に自転車が止められていないか
・ペット可の物件でも、リードなしでペットを連れている人がいないか
・掲示板に騒音や共用スペースのマナーなど、気になる注意書が貼られていないか
逆に言うと、これらのチェックポイントに当てはまらないのであれば、まずは管理が行き届いているといえそうです。
【ポイント3】デザインは好みか
清潔さやセキュリティの高さはもちろん、エントランスのデザイン性にもこだわりたいところ。たとえ狭かったとしても、床材などで高級感を演出できると、毎日の出入り時の気分も高揚するのではないでしょうか。
エントランスにおすすめの設備を一挙紹介!
ここからは、エントランスをより快適な空間にするために設置したい、おすすめの設備を紹介していきます。
【おすすめ設備1】ますます需要が高まる「宅配ボックス」
ネットショッピングでの買い物が一般的になった今、一人暮らしや共働きなどで、日中不在にすることが多い人にとって便利なのが宅配ボックスです。再配達してもらう手間もなくなるため、居住者だけでなく宅配業者にとっても助かる設備といえます。
さらに宅配ボックスの近くに共用の台車やカートなどがあれば、重い荷物を運ぶ際にも便利です。
【おすすめ設備2】雨に濡れずに人や荷物を降ろせる「車寄せ」
エントランスの出入り口付近に屋根つきの車寄せがあると、雨の日でも濡れることなく車の乗り降りが可能となるため利便性が向上します。
とはいえ、車寄せを設置するためにはエントランス付近の敷地にゆとりが必要なため、比較的大規模なマンションでないと設置は難しいといえそうです。
【おすすめ設備3】ゴミ出し問題から解放される「24時間ゴミ置き場」
仕事などで思うようにゴミ出しできないという人も少なくありません。とはいうものの、決められた収集日以外のゴミ出しは迷惑行為。一時的にベランダにゴミを置くにしても、臭いの問題で隣近所とトラブルになる可能性さえあります。
これらの問題を考慮すると、24時間使えるゴミ置き場があると暮らしやすさにつながります。
【おすすめ設備4】車椅子やベビーカーでの出入りも楽な「自動ドア」
エントランスが自動ドアだと、車椅子やベビーカーを押しながらでもスムーズに出入りができます。複数の人が一度に通る場合にも、混雑することはありません。
万が一停電した場合でも、手動で開けられる仕様がほとんどですので、閉じ込められる心配もないでしょう。
【おすすめ設備5】来客との面会などに使える「椅子やソファ」
定番ですが、エントランスに椅子やソファがあると住居者同士の交流や待ち合わせの場に使えますし、自宅に招くほどではない来客との面会にも使えそうです。
【おすすめ設備6】防犯効果や夜間の歩行をサポートする「センサーライト」
エントランスの出入り口に人の動きを感知して自動的に点灯・消灯を行うセンサーライトを設置すれば、防犯効果のほか、夜間の帰宅時などの安全な歩行を促してくれます。
【おすすめ設備7】高級マンションの代名詞、フロントカウンター(コンシェルジュ)
都心の高級マンションなどを中心に導入されることの多いコンシェルジェは、管理員よりもサービスの範囲が広く、決まった時間に必ずカウンターに常駐しているのが特徴。共用施設の申込や宅急便の受付、クリーニングの取次からタクシーの手配など、ホテルのようなサービスを提供してくれます。
そのため入居者の利便性向上はもとより、高級感の演出にもなり、さらにマンションの資産価値が上がるともいわれています。ただし、管理費などへの負担は高額になってしまいます。
【おすすめ設備8】ハンズフリーで解錠できる「スマートキー」
近年普及しているのが、エントランスに近づくだけでオートロックが解錠できる「スマートキー」。一般的な鍵の形状に、センサーが内蔵されています。わざわざ鍵を取り出さなくてもハンズフリーで解錠できるタイプもあり、両手に荷物を持っているときに便利。小さなお子さんがいる方や高齢者の方にとっても、開け閉めの負担が減るのではないでしょうか。
また、スマートフォンからエントランスを解錠できるシステムも登場しています。従来のスマートキーとは異なり、エントランスに近づかなくても遠隔から解錠できるのが特徴。エントランスカメラと連動し、遠隔でも宅配業者などの来客対応ができるタイプもあります。
ただ、システムによってはスマートフォンの電池が切れていると使えない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
住む人にとって快適なエントランス環境を整えよう!
エントランスはマンションの第一印象を決める「マンションの顔」です。とはいえ、デザイン性にこだわるだけでなく、防犯など機能面で必要な設備についても導入を検討したいところ。今回紹介した設備の具体例などを参考に、住む人にとって快適なエントランスを模索していきましょう。