マンションの防寒対策まとめ! 暖かいマンションの見分け方も解説
マンションに住んでいると、冬場の寒さが気になることはありませんか?
特に日当たりが悪い住戸や、断熱性が低いマンションでは、暖房をつけても室内がなかなか温まらないこともあります。
この記事では、マンションで寒さを感じる原因と、それに対処するための方法について解説します。寒さの原因を知り、効果的な防寒対策をとりましょう。
マンションの寒さの原因
日当たりが悪い
マンションが寒く感じる原因の1つとしてあげられるのが「日当たりの悪さ」です。特に開口部や窓の向きは寒さに影響し、北向きの開口部では、日中も日差しが入りにくくなります。
日射角度は季節によって異なります。北向きの場合、夏場は日差しが少ないため快適ですが、冬場は室内の温度が上がりにくく、寒さを感じやすいでしょう。
同じマンション内でも開口部や窓の向きによって、寒い住戸とそうでない住戸が存在します。
断熱性能が低い
断熱性能の高い家は外の冷気や熱気が室内に影響しにくく、安定した室内温度を保ちやすい点が特徴です。これにより、外の気温と比べて夏は涼しく冬は暖かく過ごせるだけでなく、エアコンの温度調節の効率が向上します。
断熱性能が低い家は、外気温の影響を強く受けるので、夏は室内も暑く、冬は寒くなる可能性が高いです。エアコンを使用しても安定した適温に保つのが難しいため、冷暖房の効率が悪くなります。
さらに、断熱材が不十分な場合、壁に結露が発生しやすくなるといったデメリットもあります。
コンクリート構造
コンクリートは熱伝導率が高いため、外気温の影響を受けやすく、特に冬は冷たさを感じやすくなります。そのため、コンクリート製の床は底冷えを引き起こしやすいです。
また、コンクリートは蓄熱性能が高いとされていますが、暖まりにくく冷めやすいという特徴があるため、冬に暖房をつけてもすぐには室内が温まりません。一度温度が上がれば暖かさは保たれますが、その状態に至るまでに時間がかかります。
夏でも同様に、コンクリートの建物は熱を蓄積しやすく、冷房をつけてもすぐに涼しくならず、冷えるまでに時間が必要です。
24時間換気システムの影響
24時間換気システムは、窓を開けずに室内の空気を効率的に入れ替える設備です。2003年7月以降、シックハウス症候群対策として、すべての新築住宅に設置が義務付けられました。このシステムは、1時間に室内の空気の半分以上を入れ替えるため、冬場には寒い外気が定期的に入る設計となっています。
換気方式には第1種から第3種まであり、それぞれ室温の保ちやすさに差があります。第1種換気は機械を使用して吸気、排気を行うシステムです。吸気口と排気口どちらにも熱交換器が設置されており、外気を室温に近づけて取り込めるため室内の温度が影響を受けづらいといえます。
第2種換気とは、吸気のみを機械が行い、自然に排気する方法です。常に新鮮な空気を取り入れられるメリットはありますが、結露が起こりやすいため3つの換気方法のなかでは採用率は高くありません。
第3種換気は自然に外気を取り入れ、機械の力で排気する方法です。一般的なマンションでは、導入コストの低いこの方法が最も多く採用されています。外気をそのまま住戸に取り入れるため、室温が外気温に影響される可能性も高いです。
しかし、暑さ寒さを理由に24時間換気システムを停止するのは避けましょう。このシステムは、シックハウス症候群だけでなく、カビや結露の発生防止にも役立ちます。気密性が高いマンションでは、特に換気が重要です。
マンションの防寒対策
断熱リフォームを実施する
床や壁から伝わる寒さを軽減する方法の1つが、床や壁の断熱リフォームです。床や壁に断熱リフォームを施すと住宅の気密性が高まるため、寒い季節でも快適に過ごせる可能性が高くなります。
ただ、マンションは一戸建てと異なり外側からの断熱工事が難しいため、住戸側の内壁や床に断熱材を入れる方法が一般的。あらかじめ工事作業に注意が必要です。
窓のリフォームを実施する
窓の断熱性を向上させたい場合や、経年劣化による隙間風が気になる場合などでは、窓サッシの交換を検討してみましょう。
ガラスや窓枠のアルミ部分の断熱性能が不十分だと冷気が室内に伝わりやすくなり、建て付けが悪いと窓の隙間から冷気が入っている場合もあります。
窓の寒さ対策としては、複層ガラスへの交換、樹脂サッシへの変更、または内窓の追加といった方法があります。最適な方法はマンションの環境によって異なるため専門家に相談をしましょう。
ただし、マンションで窓の交換を行う際には、管理会社への連絡が必要です。多くのマンションで窓は「共用部分」として扱われています。トラブルを防ぐために事前に管理会社に相談をしましょう。
断熱・遮熱シートを施工する
窓の断熱対策を行わないと、室内の空気が窓辺で冷やされ、暖房をつけていても室温が上がりにくくなります。簡易な断熱対策として窓ガラスに専用の断熱シートを貼るという手があります。室内の熱が窓から外へ逃げるのを抑えられるため、室温のキープに有効です。
断熱シートには「夏用」「冬用」「オールシーズン用」の3タイプがあり、寒さ対策には「冬用」か「オールシーズン用」が適しているでしょう。
断熱シートは長期間放置すると窓に糊やにおいが残る可能性があるため、基本的には半年に1度程度のサイクルで貼り替えが推奨されています。
断熱カーテンを利用する
遮熱断熱カーテンの利用も、屋外からの暑さ・寒さの影響を防ぐために有効です。カーテン生地に特殊な樹脂を使用したり、複数の層を重ねて分厚くしているため、通常のカーテンよりも重量のある商品が多いです。
カーテンの生地は厚いとより冷気を通しづらくなり、室内の温度を保つ効果も高いといわれています。
遮熱断熱カーテンは冬の寒さ対策だけでなく、夏の暑さ対策としても活用でき、省エネにも有効といえます。
防寒対策がしっかりしたマンションを見分ける方法
マンションの断熱方法をチェックする
マンションの断熱のための施工で一般的な方法は断熱材の導入です。住戸の内外の間に熱伝導率の低い断熱材を挟み、外気温の影響を受けにくくし、室内の温度が外に逃げるのを防ぎます。
断熱の方法は「内断熱」「外断熱」の2種類です。「内断熱」は一般的な断熱方法で、鉄筋コンクリートの内側にウレタン製の断熱材を設置し、コンクリートから伝わる外気温を室内に伝えにくくする効果があります。
一方、「外断熱」は建物の外側全体を断熱材で覆う方法で、コンクリートの蓄熱効果を活かし、安定した温度を保つほか省エネにもつながる点が特徴です。
外断熱は建物全体を魔法瓶のように包むため、外壁の冷却を和らげる作用があり、建物全体の保温性が高まるといえます。
断熱等性能等級を確認する
断熱性能のレベルを示す基準の一つが「断熱等性能等級」です。
現在、マンションの断熱性能は等級1~等級7まであり、等級5がZEH水準です。等級6・7のマンションは、ZEH水準を上回る最高水準となります。
ちなみにZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、断熱性能や省エネ性能を高めることで「年間のエネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味です。
断熱等性能等級はたびたび見直されており、2022年4月に等級5が追加されるまでは、20年以上の間、等級4が最高性能でした。
しかし2023年4月には等級6・7が追加されたうえ、2025年4月にはすべての新築住宅に対し等級4以上の断熱等性能等級が義務化されます。
築年数が古いマンションの場合は、断熱性能が低い可能性があるため、注意が必要です。
寒さの原因を把握して、適切な防寒対策を行おう
マンションの寒さは日当たりの悪さや断熱性能の低さなど、さまざまな要因が考えられます。
マンションにおける防寒対策には、リフォームを行うといった大規模な根本的対策から、個人でも実施できる簡易的な対策までさまざまな方法があります。最適な防寒対策は、マンションの環境や状況、寒さの原因などによって異なるため、多方面から検討して適切に判断をしましょう。