「原状回復」で発生するトラブルの解決方法とは?
「敷金が全額戻ってこなかった」「壁紙の張り替えのために高額な費用を請求された」など、退去時に関するトラブルは「原状回復」が関わっていることがあります。
この原状回復においては、「入居者はどこまで負担すればいいのか」「住戸を貸す側(大家など)がどこまで負担してくれるのか」を事前に知っておくことが大切です。そこでこの記事では、原状回復の定義から負担の範囲、トラブルになった場合の解決方法などを紹介していきます。
原状回復にかかる費用ってどのぐらい?
「請求された費用に納得できない」といった事態を避けるために、あらかじめ費用感を知っておくことも大切です。高額な請求をされた場合の、説得材料としても有効でしょう。
ではどのぐらいの費用がかかるものなのでしょうか。
賃貸物件の仲介を行う「エイブル」によると、工事内容の種類による一般的な相場は次の表の通りです。
とくに壁紙は1箇所でも傷をつけてしまうと、すべてを張り替えなければならない可能性もあるため、想像以上に高額になりがち。なおハウスクリーニング費用は敷金から引かれることもあれば、敷金とは別途設けられている場合もあるため、事前に契約内容を確認しておきましょう。
原状回復にかかる費用は長く住むほどお得に!?
原状回復に該当する場合であっても、そのなかには経年劣化による損傷など、住戸を貸す側の費用負担となる部分も含まれています。この考え方は国土交通省のガイドラインにも記載されており、あわせて請求金額を割り出すための計算式も公開されています。
例えば移住年数3年で退去するとして、張替面積が30㎡、費用は1000円/1㎡の壁紙へと原状回復を行うとします。ちなみに壁紙の耐用年数は6年となっているため、経年劣化を考慮して原状回復の費用を請求する場合、以下の式にもとづいて計算を行います。
3万円×(1-3年÷6年)=1.5万円
壁紙の張り替えにかかる費用は全部で3万円ですが、入居者は1.5万円だけ負担すれば良いことになります。これが2年しか住んでいない場合、先ほどの式に数字を当てはめてみると、入居者の負担は2万円。つまり入居者に請求される費用に関しては、経年劣化による消耗を考慮して、長く住む人ほど金額が少なくなるのが一般的なようです。
原状回復の定義を理解してトラブルを避ける
原状回復とは、国土交通省が定めている通り、ルールを破るなどして入居者のせいで発生してしまった損傷や汚れを元に戻すことです。ここに通常の使用による経年劣化などは含まれていません。
この定義を理解したうえで、入居時の住戸の写真を撮っておくなど、退去時のトラブルを避けるための最低限の工夫を行っていきましょう。