隣人がベランダでタバコを……やめて!その対処法とは?
吸わない人にとっては煙やニオイが気になる、ベランダでのタバコ問題。非喫煙者と喫煙者の間で思わぬトラブルに発展してしまうケースがあります。
本記事ではベランダでの喫煙によるトラブルを少しでも回避するために、苦情の伝え方や対処法などを紹介していきます。
まずはベランダでの喫煙ルールについて確認しよう
ベランダでの喫煙について明確なルールがあれば、トラブルの解決も簡単ではないでしょうか。
結論から言うと、管理規約に「ベランダでの喫煙は禁止」と書かれているなら、禁煙がルールとして決まっていることになります。マンションの住人は管理規約を守る義務があると区分所有法で定められていますので、禁止されている場合は喫煙を当然控えなければなりません。タバコを吸う方はもちろん、煙やニオイに悩まされている方もまずは管理規約を確認してみましょう。
なお、後述しますが管理規約で禁止されていなくとも、体調に悪影響を及ぼすような場合は損害賠償請求の対象となるケースもあります。つまり、「管理規約で禁止されていないから問題ない」というわけではないのです。
タバコをやめてもらいたいときの対処法は?
では、管理規約で「ベランダでの禁煙」が定められていないものの隣人に喫煙をやめてもらいたい場合、どのような対処法が考えられるのでしょうか?
ここからは具体的な対応について紹介していきます。
【対処法1】まずは管理会社や理事会へ
タバコ被害の対処法としてまず考えられるのは、管理会社や理事会への相談です。
タバコを吸っている住人と顔見知りの関係なら、直接苦情を伝えるのも難しくはないかもしれません。しかしそれほど親しい関係ではない方にいきなり苦情を伝えるのはハードルが高いですし、逆恨みなどでかえって大きなトラブルに発展する恐れもあります。その点、理事会のような第三者を間に挟むことで自分は顔を出さずに済みますし、相手も冷静に話を聞いてくれる可能性があります。
【対処法2】当人同士の解決では妥協案を出してみる
理事会や管理会社が対応してくれないなど、どうしても直接の話し合いが避けられない場合もあるかと思います。そんなときには、隣人との関係を悪化させないように具体的な解決案を提示することが大切です。例えば相手にタバコを吸う時間帯を決めてもらい、その間は窓を閉めたり洗濯物を干さないようにするといった双方で歩み寄る解決策を提案すれば、相手も納得してくれるかもしれません。
また「タバコを吸わないで欲しい」それだけを伝えるのではなく、ベランダ越しに煙が侵入してきて困っている、子どもの健康への影響を心配している、など喫煙によって被る害を具体的に伝えると、相手に理解をしてもらいやすくなるでしょう。
【対処法3】訴訟を視野に入れて弁護士に相談する
理事会や管理会社からの注意や話し合いでも解決しないような場合、訴訟を視野に入れる方もいるかもしれません。
後述しますが、ベランダからの副流煙が原因で体調を崩したとして相手に損害賠償を求めた結果、請求が認められたという例があります。ただ「再三注意してもまったく聞き入れてもらえなかった」「湿疹などの具体的な悪影響が表れている」など、慰謝料を請求するには相応の理由が必要になるようです。
【対処法4】管理規約の変更でベランダの喫煙を禁止する
「管理規約で禁止されていない」場合、ベランダでの喫煙を迷惑に感じていても相手に強く苦情を言えない状況になることもあるでしょう。そこで知っておきたいのが管理規約の変更をする、という方法です。
区分所有法では「区分所有者及び議決権の4分の3以上の賛成があれば管理規約の変更が可能である」と定めています。もし、タバコの煙やニオイに悩まされている住人が多くいるようなら、総会で規約の変更を提案するのも選択肢の1つです。ベランダでの禁煙がルールで明確に定められれば、不要なトラブルを回避することができるでしょう。
ベランダの喫煙トラブルで5万円の損害賠償が発生したケースも……
【対処法3】でも少し触れましたが、ベランダでタバコを吸っていた方に損害賠償の支払いが命令されたケースがあります。
2012年、70代の女性が下の階に住む60代の男性に対し、男性の吸うタバコの煙によって体調が悪くなったとして150万円の損害賠償を請求しました。裁判では体調悪化とタバコの因果関係は認められませんでしたが、「女性の体調に異変があったこと」「喫煙をやめて欲しいと女性が何度も要求したにも関わらず男性が聞き入れなかったこと」が考慮され、男性には慰謝料5万円の支払いが命じられました。
当該マンションの管理規約には当時、ベランダでの喫煙について記載はなかったものの裁判では「相手に不利益があることをわかったうえでその行為を続けるのは不法行為である」と見なされたようです。「管理規約で禁止されていないから問題ない」ではないことを示す例だといえます。
隣人に迷惑をかけずにタバコを吸うには?
ここまでベランダでの喫煙をやめてもらう方法を紹介してきました。一方で、喫煙者の方がマンションでタバコを吸いたい場合、どうすれば良いのでしょうか。
最も簡単な方法は、自分の部屋でタバコを吸うことです。家族を説得して室内での喫煙を認めてもらえば、煙やニオイで隣人に迷惑をかけることは減るでしょう。とはいえ、煙やニオイなどの影響から、家族に反対されてしまう可能性もあります。
その場合、以下のような対応も検討してみましょう。
・空気清浄機を導入して臭いや煙を取り除く
・タバコ専用の消臭剤を使う
・消臭クロスに貼り替えて喫煙専用の部屋を作る
・キッチンなど換気扇の近くでのみタバコを吸う
・臭いや煙の少ない電子式タバコに切り替える
ただ注意点としては、タバコの臭いや壁に付着したヤニがマンションの資産価値に影響を与えてしまい、売却しにくくなる可能性があること。さらに賃貸物件だと、そもそも室内喫煙が禁止されているケースもあります。喫煙禁止の物件でタバコを吸ってしまうと、契約解除になることもあるようです。
さらに壁に付着したヤニは、退去時、原状回復の対象。後から高額な費用を請求される可能性があることも覚えておきましょう。
なお室内以外の代替案としては、マンション内に専用の喫煙スペースを設けてもらうよう、理事会などに相談しても良いでしょう。マンション内にほかにも喫煙スペースの設置を希望する方がいれば、賛同者として募り、複数人で説得すれば理事会も動いてくれるかもしれません。
明確なルールを設定して住人が等しく快適に暮らせる環境を!
マンションはタバコを吸う人も吸わない人も暮らしているため、すべての住人が等しく快適に暮らすためには、喫煙に関する明確なルールを取り決めておくとよいでしょう。具体的には喫煙場所や時間の制約について、管理規約で明確に定めておくことも検討してみてはいかがでしょうか。