連載:理事会役員超入門

「区分所有法」って? 個人で所有できる建物の範囲は決まっている!

2020.03.16
「区分所有法」って? 個人で所有できる建物の範囲は決まっている!

管理組合の理事を経験したことがある人なら「区分所有法」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、その内容については「何が定められているの?」と疑問も持つ方もいることでしょう。そこで、連載第4回目ではマンション暮らしと密接に関わる法律「区分所有法」について、その内容や成立した経緯を解説していきます。

「区分所有法」の制定によって建物の一部の所有が認められた!

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マンションに特化した法律はいくつかありますが、そのなかでも代表的なものが「区分所有法」です。マンション所有者の権利とその効力の範囲、マンションで生活をするための基本的なルールを定めたもので「建物区分所有法」や「マンション法」と呼ばれることもありますが、正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」です。

住居も店舗も区分所有法の対象

区分所有法では「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる」とあります。

つまり、区分所有法は一軒家の寝室などではなく、分譲マンションの構造上分けられている住戸などに適用されます。

区分所有法で定められる「専有部分」と「共用部分」の違いとは?

マンションはその建物の形状から個人の住戸にあたる「専有部分」と、エントランスやエレベーターなどの「共用部分」に分かれます。では区分所有法内では、それら専有部分と共用部分の範囲をどのように定めているのでしょうか。

まず基本は戸境壁や玄関ドアで区切られた内側は「専有部分」、それ以外のすべての建物の部分や設備は所有者全員で共有する「共用部分」といえます。なお専有部分の範囲としてよく誤解されるのが、各住戸についているバルコニーです。区分所有法によると、バルコニーやベランダなど住居についている外空間に対しては、独占的に使用できる「専有使用権」があるだけであって、所有する権利は持ちあわせていません。

専有部分を所有する「区分所有者」の権利は主に3つ

一棟のマンションを区分して、一住戸(専有部分)ずつを販売しているマンションが「分譲マンション」なわけですが、この一住戸を購入して所有する権利を得た人のことを「区分所有者」といいます。この区分所有者の権利としては主に以下の3つがあげられます。

・管理組合を結成できる

・集会において議決権を行使できる

・集会において議題にあがった案を議決にできる

集会で議題にあがるものは各マンションによってさまざまになりますが、例えば、前文で触れたように「共用部を大きく変更する場合は、集会によって区分所有者数および議決権の3/4以上の賛成が必要」となります。

「区分所有者数」の数え方については、基本的に「1住戸」を所有している場合を「1」とします。つまり40戸あるマンションでは、区分所有者数の最大値は40となります。

一方で「議決権」とは、各区分所有者の専有部分の割合を指したもの。例えばその建物の専有部分の面積の合計が1000㎡で、ある1人の区分所有者の専有部分の面積が70㎡であれば、議決権は「1000分の70」となります。つまり専有部分の面積が広いほど、より高い割合の議決権を得ることになります。

なお区分所有者は、「管理組合の一員であること」が区分所有法のなかで定められており、「管理組合に入りたくない」「ぬけたい」というのは原則として認められていません。また区分所有法は法律ですから「集会を開いたにも関わらず議事録を作成していない」「管理規約の閲覧請求に応じない」など、定められた内容に違反した場合、20万円以下の過料を命じられる可能性もあります。

区分所有法をもとに作成されたルールブックが「マンション標準管理規約」

区分所有法とよく比較されるものに「マンション標準管理規約」があります。

区分所有法で定めのない事項については、各マンションで管理規約や使用細則を定めます。とはいえ、マンションごとにオリジナルの規約を策定するのも大変でしょう。そこで国土交通省がさだめた管理規約のベースとなる規約が「マンション標準管理規約」です。

このマンション標準管理規約とは、区分所有法をもと作成され、管理組合の運営方法やマンション生活における指針などが示されています。

区分所有法が強制力を持った「法律」であるのに対し、マンション標準管理規約は法律では補えないマンション内での小さな決めごとをルール化しています。区分所有法が「マンションのルール」であり、マンション標準管理規約は「住民のルール」ともいえます。

マンション購入後、そのマンションの「管理規約」が配布されるのがほとんどですが、これは「マンション標準管理規約」をもとに作成されるのが一般的です。ただ管理規約に記載するルールは、必ずしもマンション標準管理規約をそのまま踏襲する必要はなく、区分所有法の範囲内であれば各マンションの事情にあわせて改良することも可能です。

なお「民泊」に関して、2017年6月に住宅宿泊事業法が成立したことによって分譲マンションでの民泊が可能となりましたが、宿泊者のマナーなど、居住者とトラブルを起こす可能性を考慮して2017年8月に国土交通省は「マンション標準管理規約」を改正しました。

改正内容は、マンションで民泊の実施を禁止するかどうかを管理規約で設定する際の「記載例」を示したもの。管理規約で民泊を禁止する場合は「このように記載しましょう」という例が提示されているわけです。なお民泊を禁止するにあたって管理規約を変更する場合は、区分所有法にもとづいて「区分所有者数および議決権の3/4以上の賛成が必要」となります。

区分所有法はいつ、どうして誕生したのか?

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ここまで区分所有法の内容を中心に紹介してきましたが、そもそもこの法律はいつ誕生したのでしょうか。

それは、民間の分譲マンションが登場しはじめた頃、1962年までさかのぼります。この法律ができたことによって、これまで不明瞭だったマンション内における個人の所有する範囲(区分所有権)が明確に定まりました。区分所有法ができたことをきっかけに、戸建てと同様にマンションの一住戸についても、個人の資産として取り扱われるようになったわけです。

そしてそれから2年後の東京オリンピックが景気の刺激となって、マンションの開発が本格化。この頃からとくに「団地」に住まう生活様式が全国に広がっていきました。同時に利便性の高い都心部に、高級マンションや高層マンションを建設する動きも活発化していきました。

一方でマンションが爆発的に増加すると、区分所有法が制定された当時では予想されなかったさまざまな問題が生じ始めました。例えば当初「管理規約の設定・変更を行うには、区分所有者全員の書面による同意が必要」としていたため、管理組合の運営が滞る場面がしばしば見られたようです。そのほか管理組合についての明確な規定もなかったため、その運営をめぐるトラブルや、悪質な区分所有者に対して適切な処置がとれない、などの問題も起きたのです。

そこで実施されたのが、区分所有法の大改正です。

1983年の大改正で多数決制が導入された!

1度目の大改正となった1983年、大きく2つの内容が改正されました。1つ目が「敷地利用権と専有部分の一体化」です。これまでは敷地部分と専有部分である建物とを別々で売買できましたが、この改正により専有する土地だけを売却したり、担保に入れたりすることはできなくなりました。

2つ目は「マンションの管理に関する規定の充実化」です。例えば「区分所有者は管理組合を構成する義務がある」「管理規約の変更などは多数決で決定できる」などの内容が定められました。さらに悪質な区分所有者を排除することも可能となり、この改正によって、マンション内の生活で起こる問題への解決が円滑になったといえます。

阪神・淡路大震災をきっかけに2度目の改正が行われる

さらに1995年の阪神・淡路大震災における被災マンションの建て替えや、60年代以降の建設ラッシュ時に建てられたマンションの老朽化にともなう大規模修繕を円滑に行なう必要が生じたため、2002年に2度目の大改正が行われました。

例えばこれまで3/4以上の賛成が必要だった外壁塗装工事などの一般的な大規模修繕が、「過半数の賛成で実施しても良いことにする」などです。

このように区分所有法は時代の変化に合わせて少しずつ見直されてきています。

区分所有法を軸に健全なマンション管理を

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区分所有法は、専有部や共用部の明確化以外にも管理組合の運営や住民トラブルの解決策に関する規定もあり、マンション暮らしに密接に関わる法律であることが理解できたでしょうか。今回紹介した区分所有法を軸に据えながら、健全なマンション管理を進めていきましょう。

次回は「修繕費」をテーマに、定義や相場、費用の捻出方法ついて紹介していきます!

イラスト:大野文彰

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