連載:これで解決!マンション暮らしのトラブル

「リフォーム」のトラブルを解決したい!

2021.10.18
「リフォーム」のトラブルを解決したい!

マンションでよくある困った問題をテーマに、その解決方法を紹介していくこの連載。今回は「リフォーム・リノベーション」のトラブルに目を向けたいと思います。

「予算をオーバーしてしまった」「思っていたような工事ができない」といったトラブルに加え、工事の荷物や音に対して近隣住民から苦情がきてしまうこともあります。

では、こうしたリフォーム・リノベーションのトラブルにはどのように対処すれば良いでしょうか。典型的なトラブル事例について、回避方法と共に解説します。

よくあるリフォームのトラブル例

リフォームのトラブルには要注意

【トラブル1】希望した工事ができない

マンションの住戸におけるリフォームでは、必ずしも希望通りの工事ができるとは限りません。マンションには「専有部分」と「共用部分」があり、区分所有者がリフォームできるのは専有部分に限ります。窓やベランダは共有部分ですので基本的にはリフォームが認められていません。

また、専有部分であっても給排水管や建物の構造に関わる壁などの工事は難しいと言えます。内装についても、火災時に有毒ガスが発生することを抑えるための壁紙の制限や、階下への音を軽減するためのフローリング材の遮音等級など内装制限がされている可能性が高く、自由に変更できるとは限りません。

工事がはじまってから実は法律や管理規約で規制されているリフォームだったと分かってはトラブルになります。事前に管理会社と連絡を取って工事可能な範囲を確認してください。

【トラブル2】費用が見積もりを超えてしまった

リフォーム可能な専有部分の全てを、躯体のみの状態(スケルトン)にしてから改修することをフルスケルトンリノベーションと言います。この場合、70㎡前後のマンションで約700〜1000万円が相場です。

ちなみに、「リノベーション」が既存の建物に新たな機能や価値を加える工事を指すのに対し、老朽化した部分を新しくする工事を「リフォーム」といいます。

とはいえ、面積や工事の規模、床材や壁紙の種類によって費用は大きく変わります。見積もりをとっていても、その金額が妥当なのか判断がつかないケースも多いでしょう。予算を伝えずにやりたい工事のみを伝えてしまうと、気づいたら予算をオーバーしていたというトラブルにもなりかねません。

配管や壁の下地など、劣化や寿命を理由に追加工事がされる場合もあります。追加費用の有無や金額も、その都度確かめておきましょう。

【トラブル3】近隣住民からクレームがきた

トラブルを防ぐには気遣いが重要

工事中には大きな音が発生したり、荷物の搬出入で道を塞いでしまったりと近隣住民に迷惑をかける場合もあるでしょう。自分が気にならないとしても、ホコリや塗料の匂いに不快感を感じる人もいます。

工事があると知らされていなければ、なおさら不満や不快感が高まってしまい、クレームへと発展するケースも少なくありません。

万が一クレームがきた場合の対応は、工事を担う業者の現場監督が対応するため施主自らが対応する必要はありませんが、事前に挨拶に行くなど近隣の方への気遣いは忘れないようにしましょう。

【トラブル4】施工ミス・施工不良があった

悪質な業者でなかったとしても、勘違いや連絡不足によって施工ミスが生じてしまう可能性があります。

工事が終わるまで進捗を確認しないでいると、はじめに打ち合わせで決めた内容と違っていたり、イメージと違う部分があることに気づけず、トラブルになってしまいます。

進捗報告や現場の写真はこまめに確認し、不安な部分はすぐに伝えるようにしましょう。

どうやってトラブルを回避する?

では、こうしたリフォームのトラブルはどのように回避すれば良いでしょうか。

【方法1】管理会社に工事の許可を取る

前述した通り、建物の改修工事は法律や管理規約で制限されています。

また、工事の内容が法律や管理規約に触れていなかったとしても、マンション全体の大規模修繕に時期が重なってしまうと工事資材・機材の搬入などがバッティングしてしまい、リフォームができない可能性もあります。

「やってはいけない工事を行ってしまった」「大規模修繕と被ってしまい工期が延びてしまった」といったトラブルを回避するために、管理会社に確認し工事の内容や時期について許可を取っておきましょう。

【方法2】相見積もりを取る

工事面積や内容、材料の種類によって費用は大きく変わります。リフォームしたい内容を先に伝えてしまうと、想定していたより費用がかかってしまう懸念があります。まずは予算を伝え、予算内でどういった工事ができるのか、どんな材料が使えるのかを検討していくと安心です。

さらに、見積もりは1社だけではなく複数の業者にお願いして相見積もりを取りましょう。相場感が分かるため、必要以上の費用負担を避けることができます。

【方法3】工事前に近隣挨拶をする

事前に挨拶をしておくことでトラブルを回避できる場合も

近隣住民とのトラブルを回避するためには、工事の1週間前を目処に、作業が発生する日時と併せて工事がある旨を近隣住民に伝えておくと良いでしょう。大きな音がする日やホコリが発生する日もなるべく事前に伝えておくと丁寧です。

訪問しての挨拶は業者の担当者が行いますが、その前に施主が挨拶をしておけると印象が良くなり、トラブルへと発展する可能性がより低くなります。

挨拶の際にタオルなど500~1,000円程度の粗品を渡す場合もありますが、基本的には必要ありません。なによりも騒音が起きる可能性やスケジュールをしっかりと伝えることが大切です。

以上、今回はリフォームをテーマに、トラブルとその回避方法を紹介してきました。

自宅部分の工事であっても、騒音やホコリ、工事車両で道を塞いでしまうなど、ほかの住民に迷惑をかける可能性があります。

また、行ってはいけない工事をして賠償金が発生してしまったり、予算オーバーで追加費用が発生したりしてしまうと、大きな費用の損失にもなります。

必要以上の費用負担にならないよう相見積もりを取るとともに、管理会社や近隣住民には前もってリフォームの工事を行う旨を伝えておきましょう。

イラスト:カワグチマサミ

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この連載について

【連載】これで解決!マンション暮らしのトラブル

複数の世帯が生活を送る分譲マンションでは、共用スペースの使い方やペットの飼育、ゴミ捨て場における利用マナーなど、思いがけないトラブルに遭遇する可能性があります。そこで、本連載『これで解決! マンション暮らしのトラブル』では、マンションでよく起こる困った問題の解決方法をテーマごとにご紹介。トラブル発生の防止や、万が一起こってしまった際の対応マニュアルとしてもご活用ください!

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