連載:ついにやって来た!大規模修繕

需要拡大中! 人気設備「宅配ボックス」の設置を検討しよう

2023.01.31
需要拡大中! 人気設備「宅配ボックス」の設置を検討しよう

管理組合員としてマンション管理に取り組む皆さんへ向けて、大規模修繕に関連するさまざまなトピックを解説していくこの連載。今回は、マンションの人気設備である宅配ボックスについてです。

荷物の受け取りの際にとっても便利なので、お住まいのマンションにまだ導入されていなければ、設置を検討してみてはいかがでしょうか。

コロナ禍でさらなる需要の高まりをみせた宅配ボックス

コロナ禍で人気がさらに上昇

宅配ボックスとは、宅配便や郵便で送られてくる荷物を保管するための設備です。宅配ロッカーとも呼ばれます。

宅配ボックスがあれば、荷物が配達された時に家を留守にしていても、配達員がボックスに荷物を預けてくれるため、再配達の必要がなくなります。

「要冷蔵」の荷物など、保存方法によっては利用できないものもありますが、日中は荷物を受け取れる時間が限られているというような人からすると、大変便利な設備といえるでしょう。

インターネットの普及によって、Amazonや楽天などに代表されるネット通販が身近な存在となったため、多くの人が宅配便を利用する頻度が増えてきており、2000年代以降は宅配ボックスの需要が高まりを見せています。さらに、コロナ禍以降は、荷物の受け渡しを非接触で行える手段として大きく注目されました。

宅配ボックスは、元々はマンション居住者専用の設備でしたが、近頃は駅やコンビニなどでもよく設置されるようになってきています。そのため、お住まいのマンションに宅配ボックスがなくても、実際に利用して便利さを実感している人も多いのではないでしょうか。

宅配ボックスには「ダイヤル式」と「コンピューター式」の2つがある

宅配ボックスは、施錠方法によって大きく「ダイヤル式」と「コンピューター式」の2種類に分類されます。

それぞれの方式の違いについて見ていきましょう。

ダイヤル式

金庫と同じ仕組みで解錠する解錠を

ダイヤル式は、金庫などと同様の仕組みで鍵を開け閉めするタイプです。

ダイヤル式のボックスには、暗証番号を設定するためのダイヤルやプッシュボタンが設置されており、配達員はボックスに荷物を入れる時に、解錠用の暗証番号を設定して施錠します。

設定した暗証番号は不在票などに記入され、荷物の受取人に通知されます。暗証番号を確認した受取人が、ボックスのダイヤルやボタンを操作して、ロックを解除し荷物を取り出す、というのがダイヤル式ボックスで荷物を受け取る一連の流れです。

ダイヤル式の宅配ボックスは「機械式」と呼ばれる場合もあります。

コンピューター式

コンピューター式はタッチパネルなどで操作が可能

コンピューターによって、ボックスの鍵を制御する方式がコンピューター式です。

この方式では、受取人が荷物を取り出すためにボックスに設置されたタッチパネルやテンキーなどを操作して、暗証番号を入力したり、受け取り用の磁気カードを機械に読み取らせたりして解錠します。

コンピューター式は、さらに「オンライン管理方式」と「自主管理方式」の2パターンに分類されます。

オンライン管理方式は、宅配ボックスの管理会社が24時間365日体制で、ボックスの利用状況や異常が起きていないかをオンラインで管理を行ってくれる方式です。

この方式であれば、例えば深夜に荷物を取り出そうとした際に、操作ミスや磁気カードの不具合で荷物を取り出せないような時でも、ボックスの管理会社に連絡して本人確認をすれば解錠してもらうことができます。

一方の自主管理方式のボックスには、24時間体制での監視サービスはありません。万が一、ボックスにトラブルが発生した場合は、ボックスの取り扱い業者や管理会社に連絡をし、業者にマンションまで来てもらい、修理などの対応をしてもらいます。不具合の内容によっては、その期間はボックスの利用ができなくなるといった事態も考えられるでしょう。

それ以外にも、オンライン管理方式は荷物の到着通知をメールで受けられるなどのメリットがあり、機能面での充実度合いが高いといえます。ただし、その分導入コストや維持費用は自主管理方式よりも高額になる傾向です。

コンピューター式は、電気を使用しないダイヤル式に対して、「電気式」と呼ばれる場合もあります。

ボックスのタイプによって費用は異なる

宅配ボックスの設置費用は方式によって異なります。金額はボックスのサイズや追加サービス、オプションの有無によって変動するため、一概にはいえませんが、以下に大まかな費用感を紹介します。

12箱設置する場合のコスト目安

ダイヤル式は導入コストが安く、維持費用が無料であることが多い点が魅力です。ただし、故障した際には修理費用が発生するので注意しましょう。

コンピューター方式は、電気代や宅配ボックス管理会社の保守管理費用があるため、月々の支払いが発生します。

ボックスの数は、入居している世帯数の約2〜3割が適切とされています。例えば、世帯数が100戸のマンションであれば、20〜30個が目安です。

また、宅配ボックスには屋内タイプか屋外タイプかという、設置場所別の選択肢もあります。エントランス内に設置可能なスペースがなければ、屋外タイプがオススメです。

設置後は利用上のトラブルにも注意

ダイヤル式のボックスでは、配達員のミスなどの理由で不在票に暗証番号の記入漏れや番号の誤りがあり、解錠できない場合があります。このような時には、配達員に連絡して、正しい番号を確認しなければなりません。それでも解決しない場合には、管理人やボックス管理会社など、マスターキーを持つ人物に確認して解錠してもらうことが必要です。

また、住民が宅配ボックスに荷物を入れたまま放置してしまうケースにも要注意。宅配ボックスが全て使用されており、空きがない場合には、配達員は荷物を持ち帰ってしまいます。こうなると受取人は予定通りに荷物を受け取れないうえ、再配達の手続きを行わなければなりません。

もしも、1つの世帯が複数のボックスに荷物を入れっぱなしにしているようなことがあれば、他の住民からの不満が募り、トラブルが起きる場合も考えられます。

このような状況を防ぐためにも、「宅配ボックスの使用期限は荷物が届いてから〇日以内」といったように、宅配ボックスの使用期限を管理組合主導で定めておくと、トラブル発生の防止につながるでしょう。

新築マンションでは設置されているのが当たり前の存在

今回はマンションの宅配ボックスについて解説してきました。

近年では、新築マンションのほとんどに宅配ボックスが設置されているといわれており、宅配ボックスがないマンションは、それだけで見劣りしてしまうかもしれません。新規入居者の獲得へ向けた設備グレードアップという側面からも、宅配ボックスの設置はオススメです。

導入後は、トラブルが起こらないように、管理組合主導で利用ルールの設定もしっかりと行いましょう。

イラスト:平松 慶

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この連載について

【連載】ついにやって来た!大規模修繕

約12年に一度の周期で訪れるマンションの大規模修繕。住まう人々が安心して暮らすため、また、建物としての価値を維持するために、とても大切なイベントです。とはいえ、修繕工事などと言われてもピンとこない方がほとんどでしょう。この連載では、そのような方に向けて、修繕工事に向けた準備の進め方の一例を順を追ってレクチャー!みんなが納得できる工事となるように、しっかりと準備を整えましょう!

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