
マンションの外壁タイルが剥がれるのはなぜ?原因とリスクを解説

多くのマンションでは、外壁にタイルが貼られています。タイルは一見丈夫で長持ちするように思えますが、何十年も雨風に晒されていくと浮きや剥離が生じてしまう場合も。
タイルが剥離、落下してしまうと、美観を損ねるだけではなく周囲に損害を与えてしまう危険性もあります。
今回は、マンションの外壁タイルが劣化する原因と対策について解説します。
マンションの外壁タイルが剥がれる原因は3つ
【原因1】 外壁素材の経年劣化

マンションの外壁タイルは、風雨や紫外線に長年晒されることで劣化していきます。劣化する素材は「タイル」「外壁」「接着剤」の3種類に分かれます。
タイルは、紫外線による色褪せやひび割れ、剥落などのほか、凍結によって膨張し、破損する場合があります。一見しただけでは分かりづらいですが、雨水による浸食を受けている可能性も。
タイルよりもさらに素材が劣化しやすいのが外壁です。タイルを貼り付ける外壁は、コンクリートやモルタルなどが主流となっています。これらの素材は温度や湿度の変化で膨張や収縮を繰り返す性質があり、それによって接着面にゆがみが生じ、タイルが浮いたり剥がれたりする場合があるのです。
また、接着剤が劣化し接着力が弱まると、タイルが剥離する原因になります。
経年劣化は施工から年数が経てば経つほど起こりやすくなります。とくに10年以上経過している場合は、発生する可能性が高まっているので点検時に注意が必要です。
【原因2】下地処理の施工不良
一方、10年以内にタイルが剥がれた場合は施工に問題があった可能性があります。
施工のどの段階に問題があったかはマンションによって異なります。考えられる原因の例としてあるのは、接着力を高めるために下地のコンクリートを凸凹させる「目荒らし」が不十分な場合や、タイル裏側に塗布するモルタルやモルタルのオーブンタイム(塗布してから貼り合わせるまでの待ち時間)の不足などです。
多くの分譲会社は「アフターサービスの期間内に発見されれば対応する」としています。アフターサービスの期間は、新築マンションの瑕疵担保責任や住宅の品質確保の促進等に関する法律の最短期間である2年以内の場合が一般的です。
【原因3】自然災害

台風や地震などの自然災害をきっかけに、タイルが落下する可能性もあります。
前述したように、雨水がタイルの裏側に入り込むとタイルや接着剤が劣化します。また、台風による強風や地震の揺れも、タイルへの大きな負荷です。
経年劣化や施行不良がある状態の場合は、そうではない場合と比べて、より発生の可能性が高まります。
外壁タイルの剥落で生じる3つのリスク
【リスク1】居住者の負担増
マンションの外壁タイルに浮きや剥離が生じると修繕が必要となるので、管理組合に修理費用の負担が発生します。
修繕費用はマンションによって異なりますが、足場の設置や外壁の打診調査が必要になると、当初の想定よりも膨らんでしまう可能性があります。将来的に修繕積立金が不足し、積立金の増額や臨時徴収の原因となる場合も考えられるでしょう。
また、費用面以外の負担もあります。補修範囲や方法の検討から工事完了までの期間は最短でも半年以上、長引くと2年以上かかるケースも。工事期間中はどうしても騒音や振動が発生してしまうため、生活への影響も避けられません。場合によっては、仮住居への移転も必要になります。
【リスク2】死傷事故の発生

修繕を後回しにすると、さらに深刻な事故のリスクも出てきてしまいます。
外壁タイルの落下先に人がいた場合、その人が怪我をしたり死亡したりする事故に繋がりかねません。特に強風時は、タイルが建物の高さの約1.5倍の距離まで飛ばされたという事例もあるため、事故が発生する可能性が高まります。
また、人に当たらなくても、周辺の車や住宅に損害を与えてしまえば、賠償責任を問われるかもしれません。
【リスク3】資産価値の低下

外壁タイルが剥がれていると、マンションの耐久性や美観が損なわれ、資産価値が低下します。
また、前述したような事故が発生してしまうと、売買取引の際の重要説明事項に記載されてしまうため、さらに資産価値が低下してしまうでしょう。
安全性に加えて資産としてのマンションの価値を保つためにも、タイルの剥離は放置しないべきです。
定期的な外壁調査で落下を防ぐ

外壁タイルの剥離や落下防止には、おおむね10年に1回の頻度での定期的な外壁調査の実施が効果的です。外壁調査を実施すれば、落下の可能性が高いタイルの確認だけではなく、目視では把握できないタイルの浮きや剥離を調べられます。
タイルが剥離・落下してから対応するよりも小さな修繕で済むので、コスト面でもオススメです。
また、剥離防止剤を使用すれば、外壁タイルを剥がれにくくさせられます。
築10年になる前に対策を検討しよう
マンションの外壁タイルは、築年数の経過や施工不良によって劣化していきます。普段は気にならなくても、自然災害によって剥離や落下が起きてしまうかもしれません。
外壁タイルの修繕には、費用や騒音などの居住者の負担が生じます。築10年を過ぎるとリスクが高まっていくので、その前に定期的な外壁調査を実施し、剥離や落下を防止したいですね。