理事・管理

リスクを避けた修繕積立金運用を! 注意すべきペイオフも解説

2022.05.27
リスクを避けた修繕積立金運用を! 注意すべきペイオフも解説

積み立てていくうち、多額になっていく修繕積立金。どれ位の金額をどこで運用したらいいかは悩みの種かと思います。今回は、修繕積立金の管理を行うにあたって踏まえておいた方が良い「ペイオフ」制度と、修繕積立金の5つの運用方法について解説していきます。

ペイオフで保護される預貯金には上限額がある

保護される預貯金は1000万円+利息

ペイオフとは、金融機関が破綻した際に元本1000万円と利息分までが保護され、払い戻される制度です。日本国内に本店がある銀行や信用金庫、信用組合など多くの金融機関の預貯金に適用されます。なお、外国銀行の在日支店や政府系金融機関は対象外です。

保護の基準を超える部分は破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われます。払い戻し額がカットされてしまう可能性もあるため、一つの金融機関で複数の預金を行っている場合は預けている総額に注意が必要です。

次に、修繕積立金を運用する主な方法と、それぞれにペイオフが適用されるかについて紹介します。

マンションの修繕積立金を運用する5つの方法

修繕積立金運用には5つの方法がある

【方法1】普通預金

1つ目の方法は、銀行の普通預金です。

普通預金による運用のメリットは、現金をいつでも引き出せる点です。災害などで急な修繕費用が発生した際などに備えることができます。

一方で金利が非常に低く、預けていても資産がほとんど増えないという点がデメリットです。

また、ペイオフの対象となるため、1000万円以上を預けている場合は、金融機関が破綻した際に払い戻し額がカットされてしまう可能性もあります。

普通預金による運用は、国土交通省が平成30年に発表した「マンション総合調査結果」で78.7%の管理組合が挙げており、運用方法の中では最も一般的なものです。しかし上記のデメリットから、普通預金のみでの運用はベストとは言えないでしょう。

【方法2】定期預金

2つ目の方法は、銀行の定期預金です。

マンション総合調査では、48.2%と普通預金に次いで割合の高い方法となっています。

定期預金による運用のメリットは、普通預金よりも金利が高く、利用に手数料がかからない点です。

一方、原則として満期になるまで引き出しができない点はデメリットです。急な修繕費用が発生した際は一部解約や中途解約を行うことになりますが、その場合は金利が低くなってしまいます。

さらに、定額預金もペイオフの対象となります。普通預金と合わせて1000万円以上預けていないかを確認してみましょう。

したがって、定期預金として運用する金額は、修繕積立金の中でも災害時などでも取り崩さず、大規模修繕のために確実に貯めておく分に留めておくのがオススメです。

【方法3】決済用預金

3つ目の方法は、決済用預金です。決済用預金とは「無利息である」「預金者が払い戻しをいつでも要求できる」「決済サービスに利用できる」という3つの条件を満たしている預金を指し、当座預金・利息のつかない普通預金などが該当します。

条件にある通り、金利がつかないという点がデメリットです。

しかしペイオフの対象ではないため、預け入れ金額が1000万円を超えていても全額保証されるというメリットもあります。

規模が大きいなどの理由で、修繕積立金が1000万円を超えるようなマンションでは、共有資産を運用するのに安全な方法であると言えます。

【方法4】マンションすまい・る債

4つ目の方法は、マンションすまい・る債です。マンションすまい・る債とは、独立行政法人である住宅金融支援機構が発行する一口50万円の債権です。1〜10年間新規で積み立てることができ、購入から10年で満期になります。

分譲マンションは、いくつかの条件を満たすことで応募が可能です。

運用のメリットとしては、元本が保証されている点が挙げられます。満期で元本が返済されることが約束されているだけではなく、1年以上積み立てで、修繕工事などのために手数料なしで中途換金することもできるのです。

2021年度の満期時年平均利率は0.120%と、高い利率で運用できる点も魅力的です。さらに、マンション共用部のリフォーム融資の金利が通常より低くなる点も、メリットとして挙げられます。

また、マンションすまい・る債は預金ではなく債権のため、預金保険制度対象外です。しかし、住宅金融支援機構法によって、債権の元本を優先して弁済するように定めているため、安全性も保証されていると言えるでしょう。

一方デメリットとして、積立金額を途中で変更することができない点が挙げられます。また、中途換金を行うと満期で受け取るよりも金利が低くなってしまう点にも注意が必要です。

毎年貯まる金額の一部を積み立てに回すか、貯まっている金額を一度に積み立てるかを予め計画してから申請すると良いでしょう。

【方法5】積立型マンション保険

5つ目の方法は、積立型マンション保険です。積立型マンション保険は、事故の際の保険金による「補償機能」と、満期の際の返れい金による「積み立て機能」を併せ持っています。

保険期間は3〜5年の間で決めることができるほか、満期返れい金の金額もある程度自由に設定することができる点がメリットです。また、保険会社の運用成績によって契約者配当金を受け取ることができます。なお、満期返れい金や契約者配当金は原則として非課税です。

ただし、1回の事故による損害が保険金額の100%に相当する額となった場合、事故が発生した時点で保険契約が終了します。契約が終了した場合、満期返れい金や契約者配当金を受け取ることができなくなってしまいます。

共有部分の保険と併せて積立金を運用できる点は魅力的ですが、大規模修繕に備えた運用としてはリスクがある点には要注意です。

次に、これらの方法を踏まえて管理組合ができるペイオフ対策について見ていきます。

管理組合ができるペイオフ対策

【対策1】複数の金融機関で口座開設

預け先を分散させてリスクを減らす

ペイオフ対策としてまず検討したいのが、複数の金融機関に預貯金の口座を開設することです。

口座を持っている金融機関の数が増えると、理事長の交代時に行う代表者手続きの手間が増えてしまいます。また、残高証明書を発行する際などの費用負担が増すというデメリットもあります。

しかし、各金融機関の口座に1000万円以下ずつ預けておけば、いざという時に全額が保護されます。リスクの分散ができるという点は、メリットと言えるでしょう。

【対策2】運用方法の変更

もう1つの対策として、「普通預金」や「定期預金」をペイオフの対象にならない「決済用預金」や「マンションすまい・る債」に変更するという方法が挙げられます。

「決済性預金」はすぐに引き出すことができるが金利がつかない、一方の「マンションすまい・る債」は金利は高いが途中解約してしまうと金利が下がるなど、それぞれにメリットやデメリットがあります。

運用先を変更する際は、それぞれのマンションの実情に合わせてベストな方法を検討することが必要です。

状況に合わせてリスクの分散を!

現在、管理組合の多くが運用方法として採用している金融機関の預貯金ですが、修繕積立金の金額によってはペイオフ制度について考えなければなりません。その場合は、複数の金融機関で口座を開設するなどの対策を検討することが必要です。

修繕積立金の運用方法は、預貯金以外にも様々な方法があります。それぞれのマンションにとって、もっともリスクの低い運用先を選んでいきたいですね。

あなたのマンションの課題を解決!おすすめサービス!

この記事を誰かに知らせる/自分に送る

TAGS関連するキーワード

MAGAZINEおすすめ連載

ついにやって来た!大規模修繕
理事会役員超入門
となりの管理組合
マンション管理最前線
これで解決!マンション暮らしのトラブル
APARTMENT LIFE GUIDE BOOK
¥0

無料
ダウンロード

マンション居住者のお悩み解決バイブル!

『マンション暮らしのガイドブック』

最新マンショントレンドや理事会の知識など、
マンションで暮らす人の悩みや疑問を解決するガイドブック。
ここでしか手に入らない情報が盛りだくさん!

※画像はイメージです。実際のガイドブックとは異なる可能性があります。

OFFICIAL
LINE

役立つセミナー情報や
最新記事をお届けします。

OFFICIAL LINE QRコード
無料配布中!

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのためにクッキー(Cookie)を使用してしています。このバナーを閉じるか閲覧を継続した場合、クッキーの使用に同意したこととさせていただきます。なお、クッキーの設定や使用の詳細については「プライバシーポリシー」のページをご覧ください。